多くの方を励まし続ける

八月お盆。

熱さのせいか、老木のせいか?

境内の桜一本は早く落ち葉多く秋の装い。

遠くに落ち葉を見ながら読書に徹する二宮金次郎さん。

近くの小学校に立てられていたものが、時代が変わり、

人の思いが変わり、大事なものを捨て去るように校庭から消えていった。

壊されては勿体無いと、転々と。

転々とする間に、脚は折れ、いたるところ痛々しく。

そしてお寺に助けを求めて来山。

お寺も手に負えず、鉄工業を営む檀徒さんに修復を押し付け依頼。

鉄工業を営むとはいえ、途方に暮れたと。

あちこち声をかけて、手伝いを依頼し、 大勢の手で、

見事無事修復完成。時代は変われど、大切なことは変わらない。

陶器の金次郎さんは今日も無言の説法。

そして修復完成後、鉄工業の方は、心臓で急逝。

今年、初盆を迎える。

いい形を残してくださった。

いい心を残してくださった。

彼はこの像の中に居続ける。

見えずとも、多くの方を励まし続ける。

お寺はよき心の集まるところ。  

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諏訪 普現

昭和24年10月1日 小田原にて生まれる。6才から武生の庵寺で育つ。昭和53年28才福井市霊泉寺住職。翌年、鯖江市長禅寺兼務住職。昭和62年から平成元年にかけ、禅林寺、長禅寺同時期に本堂再建。平成2年より武生市金剛院、福井市禅林寺住職。同時に伝道掲示板書き始める。平成30年、禅林寺に慈恩立ち直り観世音石像建立。 現在、福井刑務所教誨師。