額は色んなことを語ってくれています

金剛院の山号額、本堂正面にあります。

ダイナミックで力強く、それでいて軽やかな遊び心が見て取れ、圧倒されます。

極めて能筆です。

こんな字を書いてみたいと、思うのも奥がましいことかと。

染筆された即非禅師、江戸時代初期の方、中国福建省出身、

請われて渡来され、京都黄檗山を、隠元禅師の後を継いでおられます。

黄檗三筆の一人と。

江戸初期、

交通もままならない中、どのように染筆を依頼されたものなのか?

思いを巡らすと、当時の闊達とした交流に想いが馳せます。

また、現在の本堂は江戸後期再建ですから、

この額は、最初どのように掛けられていたのでしょうか?

ひょっとして、京都伏見桃山、黄檗山の近くに、金剛院の末寺があります。

太閤さんが開かれ、利休さんと語らいを持たれた名刹です。

そのようなご縁もあったのかな?

お寺が近くであっても、良き交流がなければ、依頼することも難しいかも。

また、字は依頼者の熱意によっても、気合いの入り方が変わります。

今は遠くなれど、額は色んなことを語ってくれています。

物をして語らしむ

深い言葉です。

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諏訪 普現

昭和24年10月1日 小田原にて生まれる。6才から武生の庵寺で育つ。昭和53年28才福井市霊泉寺住職。翌年、鯖江市長禅寺兼務住職。昭和62年から平成元年にかけ、禅林寺、長禅寺同時期に本堂再建。平成2年より武生市金剛院、福井市禅林寺住職。同時に伝道掲示板書き始める。平成30年、禅林寺に慈恩立ち直り観世音石像建立。 現在、福井刑務所教誨師。