八月お盆。
熱さのせいか、老木のせいか?
境内の桜一本は早く落ち葉多く秋の装い。
遠くに落ち葉を見ながら読書に徹する二宮金次郎さん。
近くの小学校に立てられていたものが、時代が変わり、
人の思いが変わり、大事なものを捨て去るように校庭から消えていった。
壊されては勿体無いと、転々と。
転々とする間に、脚は折れ、いたるところ痛々しく。
そしてお寺に助けを求めて来山。
お寺も手に負えず、鉄工業を営む檀徒さんに修復を押し付け依頼。
鉄工業を営むとはいえ、途方に暮れたと。
あちこち声をかけて、手伝いを依頼し、 大勢の手で、
見事無事修復完成。時代は変われど、大切なことは変わらない。
陶器の金次郎さんは今日も無言の説法。
そして修復完成後、鉄工業の方は、心臓で急逝。
今年、初盆を迎える。
いい形を残してくださった。
いい心を残してくださった。
彼はこの像の中に居続ける。
見えずとも、多くの方を励まし続ける。
お寺はよき心の集まるところ。