見える

12日観音日托鉢。

歩くと見える。 

麦秋近く、麦は黄金色になりつつ。 

早稲中稲の苗は少し力強く。 

晩稲田はまだまさに水田。 

托鉢の歩みを畦に止めかがんで見れば、 

田の苗の間に水すましなど小さき虫の泳ぐ姿。 

見える見える。 

姿は見えねども空では鳥の囀り、 

道路は先を急ぐ車や学生の自転車、

人の朝の営みの姿。 

止まらなければ見えない。

止まると見える。 

鉢の子に

すみれたむぽぽ

こきまぜて

三世の仏に

たてまつりてな

良寛さんも托鉢の足を止め、畦で一服なされたか。 

悠久のみ仏に包まれて。

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諏訪 普現

昭和24年10月1日 小田原にて生まれる。6才から武生の庵寺で育つ。昭和53年28才福井市霊泉寺住職。翌年、鯖江市長禅寺兼務住職。昭和62年から平成元年にかけ、禅林寺、長禅寺同時期に本堂再建。平成2年より武生市金剛院、福井市禅林寺住職。同時に伝道掲示板書き始める。平成30年、禅林寺に慈恩立ち直り観世音石像建立。 現在、福井刑務所教誨師。